アクトレス ~女たちの舞台~

オリヴィエ・アサイヤス、2014。この映画のクリステン・スチュワートはすさまじくカッコいい。もう冒頭からたまらないし、最後は映画から失踪してしまうという特別扱いなのだ。この映画は若さという圧倒的な魅力との葛藤が、ベテラン女優ジュリエット・ビノシュの視点から語られる。ビノシュは同じ舞台を20年ぶりに演じるのだが、20年前に演じた若き主人公ではなく40歳の相手役だ。クロエ・グレース・モレッツが舞台の主人公であり若さの象徴として描かている。ここでクリステン・スチュワートだ。スチュワートはビノシュのマネージャーである。台詞の練習相手としてスチュワートはモレッツの役を演じる。しかし、この役はビノシュが20年前に演じた役でもある。スチュワートはビノシュの20年ぶりの反復であり、その反復は度重なる台詞の練習によって重層的に反復される。そしてその台詞が台詞を超えて現実世界に介入し、舞台劇と現実世界のふたりの関係が類似してゆく。舞台の台詞と現実世界の台詞は曖昧に描かれ、実際に状況も曖昧だったりする。ふたりの関係には反復と類似と対照が頻繁に見られる。そこには映画の醍醐味が詰まっている。スチュワートの失踪は対照的に描かれる。スチュワートはこの映画の最大のモチーフである蛇と現実的に関わる。ビノシュはそれに関わることはなく、モチーフは同じである舞台の蛇と、演じることで虚構的に関わる。そして映画が示すのは、映画は虚構との戯れだということだ。スチュワートの現実とビノシュの虚構にある不確実性は、対照性や類似性のみならず多義的な意味を持つに至っている。100点。