グリード

エリッヒ・フォン・シュトロハイム、1924。もう人間の外見も内面もギラギラしすぎていて圧倒されてしまう。欲望に忠実であるがゆえの悲劇が展開されてゆく映像はグロテスクですらある。普段映画に度肝を抜かれるとき、それは芸術的な描写によるところが大きい。それがこの映画ではリアリスティックな描写にも度肝を抜かれるのだ。この映画の圧倒的なドラマ描写は繊細というより野太い感じがする。一貫してゴツゴツとした硬質なドラマが展開されるのだ。欲深き人間の愚かさの行く末を見つめる目は冷徹極まりない。この映画は当初9時間超えの大作だったらしい。原作小説を1ページずつ撮影していくといった方法を取ったというのだから狂気の沙汰である。2時間超に短縮されたバージョンは、サイレント映画で、しかも無骨といってもいいドラマであるにもかかわらず時間的な物足りなさを感じた。主人公の男の数年間であろう人生の流れのドラマチックさが異常だ。特に3人の登場人物のなかで、唯一ややまともだった男が、妻と暮らす家を出てからの描写がすさまじい。妻殺しの光と影の演出は素晴らしく刺激的だ。そして男はデスバレーに向かうのだが、この砂漠もまた名シーンになっている。ここを名シーンたらしめているものこそ、シュトロハイムのリアリスティックな描写である。砂漠と死を完全に一致させるだけの説得力のある描写があり、そこに男がリアリスティックに存在しているのだ。3人の人物が強欲によって自滅してゆく物語が冷徹で硬質に語られている。その圧倒的な説得力にシュトロハイムの凄みを見たような気がする。100点。