フェア・ゲーム

ダグ・リーマン、2010。イラク戦争にまつわる事実に基づく映画。こういう映画の場合鮮度というものは重要で、この映画はオバマが戦闘任務集結を宣言する前に公開している。それだけでも素晴らしいことだと思う。見ていてどうにもうるさい撮影だと思ったら監督が撮影をしていた。基本的にブンブンとカメラを振るし、人物の心理描写を示すブレなども多用する。このモビリティが作劇にもかなり影響を与えている。テンポよく物語が進みダレることはない。しかしうるさい撮影というのは聞かないことにしてしまう傾向がある。つまりこの映画では要所でカメラをフィックスして撮影するのだが、それに気づきにくい。夫婦の切り返しのショットではフィックスとブレを使い分けたりする。そうしたことがうるさい撮影のせいで聞こえにくいのだ。実際気づいた場面でも夫婦のどちらの心情をあらわすブレなのかわかりにくい。というわけで撮影は良い部分と悪い部分の両方が見られた。映画は偽情報に基づくイラク戦争に対して、真実を追求する物語が描かれている。そこには虚偽と真実と対立や、国家権力と個人の対立の構図が当然ある。しかし、この映画は常に夫婦や家族の物語を描くことに徹している。それが実際の出来事や映像とリンクしてゆくとき、夫婦のキャラクターに深みが生じている。ショーン・ペンとナオミ・ワッツが夫婦を見事に演じている。物言うショーン・ペンと、物言わぬナオミ・ワッツの、それぞれの正しい行いの対比があり、国家と戦うショーン・ペンと、ナオミ・ワッツの家族を守る戦いは、刺し違えそうになるのだが、やはりアメリカはすごいと史実に感心した。90点。