冷たい熱帯魚

園子温、2010。善悪を超越したむき出しの感情を2時間半キープさせる映画。でんでんがずっと引っ張ってくれたから、映画のテンションは維持できていた。エロスの貢献度も高い。この映画はスプラッターなのかエログロなのかとにかくホラーなのだが、全員怖いから怖くはなくて、それでも怖いでんでんがすさまじかったぐらいだ。イカれたヤツらが暴走するイカれたムービーになっていれば称賛したいところなのだが、残念ながらそうはなっていない。でんでんの父子の描写はキャラクターとして無用に感じたし、それに絡めた吹越満の父娘の描写もちょっと乱暴な脚本に思えた。そしてやはり感じたのは日本における女性の役割のくだらなさだ。意図的にそれを利用している部分もあるのだが、意図していないところでそういう描写が入ってしまうあたりは日本映画だなと感じてしまう。ハイライトであるでんでんと吹越満の殴り合いのシーンの台詞の意味がよくわからなかった。しかしそこで、でんでんは吹越満のマッチョな人格を引き出し自分は死んでゆくのだから最重要シーンだったはずだ。もっと納得できなかったのは、マッチョな吹越満の生き様が描かれない点である。半分演じ気味のマッチョ男になった吹越満は最後に自決して死ぬ。これはストップ負の連鎖だったり罪と罰といった意味を見て取ることはできるが、マッチョ的な見方ではオナニーにしか見えなかった。個人的には、脚本の手直しが必要だが、でんでん殺しをラストシーンに持ってきて、でんでん殺しの英雄と、でんでんの継承者という、二重の意味を含ませた吹越満で終わらせてほしかった。90点。