キャット・ピープル

ジャック・ターナー、1944。美しすぎる恐怖映画。照明を最大限に有効利用して恐怖を演出している。特に素晴らしいのが後半だ。ジェーン・ランドルフの帰路のシーンは照明も撮影も録音も演出も素晴らしい。これまたジェーン・ランドルフのプールのシーンは、怖さと美しさを兼ね備えた見事なシーンだ。直接的な描写をせずに恐怖が描かれてゆくのだが、美しいショットとショットが適切にカットされてシーンが見事に構成されている。そもそも色として白と黒というのは美しさを表現しやすいものだ。この映画では白と黒の美しさや対照がとりわけ強調されており、それが映画全体にわたって効力を発揮している。直接的な恐怖描写がないことによって無人ショットも多く登場するのだが、ここでも白と黒は見事に演出される。そして定番の影の演出も効果的だ。十字架が印象的なショットとそれにつづく無人ショット。精神科医対シモーヌ・シモンの照明演出からの影のバトルなどでも恐怖描写が美的に描かれる。霧の立ち込める哀しきラストシーンも美しい。黒い豹の直線的な動きと黒いシモーヌ・シモンの死のカッティングの素晴らしさ。この映画は見せ場での編集が見事だ。一瞬混乱するような素早いカッティングが、撮影や照明と同様に恐怖を鋭く美的に演出している。霧は重要なモチーフとなっており、雪や雨の効果的な使われ方も素晴らしい。RKOはこの映画のような低予算映画をヴァル・リュートン主導で製作した。リュートンタッチともRKOホラーとも呼ばれるスタイルは、低予算ゆえに立ち現れる映画の根源的な魅力に満ち溢れている。95点。