僕の彼女を紹介します

クァク・ジェヨン、2004。同じ監督&主演の『猟奇的な彼女』は見ていないのだが、見たいと思わせるだけのものはあった。この映画は、例えば冒頭の空撮のシーンから、ボブ・ディランの曲が天からの視点を示唆しているし、ナレーションが入ってくるし、振り返ってみればあれはソウルのビル群ではなく、風をとらえようとしていたようにも見える。冒頭からしてそんなだから、この映画はいろんな要素をブッ込みすぎている感がある。わずかに語られるチョン・ジヒョンの姉ですら、ふたつのモチーフを示唆している。ひとつは前半で繰り返される衣装チェンジを象徴するもので、もうひとつは自分せいで姉が死ぬことの反復である。恋人チャン・ヒョクとの最初の接触には風の音をわざわざ入れている。その入念さはこの映画を単純な娯楽以上のものにしているのだが複雑化したモチーフは整然としていない。しかし脚本よりも映像の力で語るスタイルは強度があり素晴らしい。360度移動するカメラが3度登場する。1度目の警察署ではふたりの関係が決定づけられる。2度目の学校はベタだが幸福感に満ちており美しい。しかし未来を暗示させるものでもある。3度目は死んだチャン・ヒョクが風になってあらわれる。この3度の移動ショットの中心には必ずチョン・ジヒョンがいるのだが、チャン・ヒョクはすべて異なるポジションにいる。このように映像によって決定的な関係性を描いてしまうのだ。車の事故のシーン、雨に降られて戯れるシーンなど、台詞に頼らない描写は、銃撃戦から風に揺れるカーテンまでひっくるめてアクションとして機能させることに成功している。90点。