私の少女

チョン・ジュリ、2014。この映画の素晴らしさは、様々な社会問題を扱いながらも、警官ペ・ドゥナと少女キム・セロンの関係性をしぶとく、しかも美しく描いた点にある。特筆すべきシーンはふたりの入浴シーンだ。まずキム・セロンが小便を垂れる音がして水を流す音がする。ペ・ドゥナの家の音は乱暴な音ばかりだ。しかしふたりの入浴シーンでは水音が際立って美しく響く。それにキム・セロンが入浴するときのカット割の驚きと美しさ。この時点ですでに同性愛的なモチーフが浮かび上がるように演出されている。しかしこの映画はあまり説明をしない。ペ・ドゥナの台詞は極めて少ないし、村では沈黙で多くが語られている。バーバーショップの沈黙や船の不法移民の沈黙などは、この映画の省略を好む演出スタイルとメッセージ性の見事な融合といえるだろう。ペ・ドゥナの元カノの登場シーンの省略も大胆だ。脚本はところどころ解せない部分がある。普通ならあんなアル中暴力継父がいたら保護するだろう。でもペ・ドゥナはキム・セロンを乱暴に家に戻す。そこにはペ・ドゥナの過去があり深入りは禁物だという理由があるのかもしれないが、そういうものは伝わってこない。終盤はペ・ドゥナのショータイムといっていいだろう。キム・セロンとの別れ際のカットバックにおけるペ・ドゥナの顔面のすさまじさ。そして怪物だからこそキム・セロンを引き取るペ・ドゥナの思い。ここでは物語的な複雑な思いと同性愛的な暗示が交錯しており、美しさとあやうさが見事に同居している。冒頭との反復で終わるラストシーンは受難の反復を示唆しているのかもしれない。95点。