ヒミズ

園子温、2011。昨日見た『ニワトリはハダシだ』と『ヒミズ』は、ともにエネルギーに満ち溢れた映画だ。しかしその意味は大きく異なる。『ニワトリはハダシだ』のエネルギーは演出技法と撮影技法を駆使したテクニカルなものだ。しかし『ヒミズ』は比較的単純なもので、芝居のテンションやクローズアップの多用であったりする。園子温にテクニカルなエネルギーを要求するのは酷だろう。園子温映画のエネルギーとは『冷たい熱帯魚』や『愛のむきだし』に顕著な度を越したエネルギーの発露なのだ。この映画にはそうした度を越したエネルギーはあまり見られない。だからエネルギーの問題としてこの映画はやや物足りない。それでもこの映画はおもしろい。ダメな状況にさらされていく染谷将太の描かれ方が秀逸だ。震災があったからこそセッティング可能な近所の大人たちがいて、その移住に伴い二階堂ふみの存在感が増す。大人たちや二階堂ふみの存在によって染谷将太はギリギリ大丈夫でいられる。あの坂道とボート小屋周辺のロケーションを映画は見事に掌握している。映画はホームを作り出し、ホームレスな人々が集まるという必然性を生じさせている。演者が総じて素晴らしい。特に若者に未来を託すおっさんたちは特筆すべきだ。染谷将太は難しい前半を見事に演じていた。二階堂ふみは冒頭でキャラクターが的確に描写されているとはいえ、良くも悪くも二階堂ふみならではの存在感があった。教師の言葉が反復されるときに見える微妙でありながら決定的な差異。二階堂ふみの言葉が染谷将太によって反復されるときに見える未来。ラストはそうしたものが結実していたように思う。95点。