魔法少女を忘れない

堀禎一、2011。記憶の忘却をテーマにした学園ファンタジー。男の妹として登場する元魔法少女は忘れられる運命にある。よくある記憶の忘却のはかなさを描いた物語だ。ここで見事な役回りを演じるのが男の幼馴染みである。魔法少女との類似が現実的に描写されるのだ。忘却を提示してみせ、魔法少女同様に崩壊するヒストリーを有しており現実それは崩壊する。そのシーンは端的には台詞が、もっといえばシーンそのものが美しい。そして魔法少女も他者による忘却によってヒストリーが崩壊してゆく。それを食い止めようとする仲良し男女4人組のドラマが展開されてゆく。記憶の忘却とは残酷なものだ。それは幼馴染みであろうと魔法少女であろうと変わらない。しかし忘れられるほうは運命を受け入れる。抗うのは忘れるほうだ。その抵抗の無力さが残酷さをより一層引き立てることになる。前半の男と魔法少女のみずみずしい自転車の並走シーンが忘れられない。それが後半に効いている。自転車を含め数々のフラッシュバックが登場する。フラッシュバックのはかなさと、ざらついたショットの強烈なインパクトが奇妙に記憶に混在している。時間と空間の演出が素晴らしい。記憶の忘却は関係性の深さと時間によって左右される。記憶とは時間ではなく空間として認識されるものだろう。この映画には印象的な空間がアクションをともなって見事に演出されている。終盤はファンタジーらしく鮮やかなものだ。幻想から現実への見事な移行があり、転校という空間移動が忘却をほのめかす。スリリングな階段シーンからのミラクルなハッピーエンドは素晴らしかった。95点。