永遠のこどもたち

J・A・バヨナ、2007。ホラー映画の王道パターンを継承しつつ、おとぎ話的なテイストを取り入れているところが面白い。映画の作りは素晴らしい。特に撮影の的確さは映画に気品を与えていた。ホラーな演出はかなり控えめだ。首がグルグル回ったりはしないし、唐突なショック映像で驚かすこともない。ホラー映画の見せ場である霊媒師のシーンですら、霊との闘いというような構図にはならない。この映画の見せ場は母子で反復される宝探しであり、だるまさんがころんだにおける過去との反復である。孤児院育ちの母が、その元孤児院に住んでいるという設定が、端的に状況が説明している。母と父はゆるやかな対照を見せる。それが元孤児院という空間だけで説明ができてしまう。そして息子は子どもであるために、孤児院の子どもの霊たちとおとぎ話の世界で遊ぶのだ。こうして子どもの遊びとホラーは見事に共存してゆく。アクション満載のスリリングな宝探しから、ホラーなだるまさんがころんだの、静と動が織りなす対照的な遊びが物語を豊かなものにしている。ただ、ホラーとしての衝撃度は求めていないのかもしれないが、ホラーな雰囲気というのか、ショック映像ではないホラー演出は物足りない気がした。ミステリーも説明描写があるのにわかりづらさがある。ファンタジー的な要素をもっと前面に押し出しても良かったような気がする。この映画は良作や秀作といわれるような映画だとは思うのだが、それ以上のものはあまり感じられない。おとぎ話的な要素があり、ラストのファンタジックな展開があるのだから、もっとファンタジーなイメージがあってもよかったと思う。90点。