サンローラン

ベルトラン・ボネロ、2014。同年にフランスでは『イヴ・サンローラン』という映画が作られており、どちらの映画を見たかったのか未だにわからない。見たくないほうを見た可能性がある。なぜならこの映画は見たくない2時間半の長尺映画だからだ。しかし2時間半映画にしては集中を切らさず見られる映画だと思う。設定上、鏡が大量にあるのだが、それらは大いに有効利用されている。鏡による奥行きにも関係するのだが焦点を合わせ方もおもしろい。後半が特にいい。ダラダラズルズルとしたムードは映画のテイストなのだが、そこにヘルムート・バーガーが老いたるサンローランとして登場するのだ。しかも少年期のサンローランも登場するから三世代だ。この映画はサンローランの伝記映画という時の流れの連続性を見事に分断して見せる。まずでっかく年号を入れてバッサリと区切る。そして老いたるサンローランはシーンとしても存在するのだが、おもしろいのは1976年のショーにその映像が登場するのみならず、音楽に合わせてタクトを振るような仕草をする。そうなると1976年がフラッシュバックのような意味合いを持つことになる。さらには時代をまたいだクロスカッティングによって死まで描かれる。そのようにしてラストの死が映画の構造と深く関わることになるのだ。ショーは画面を分割して描かれる。鏡もそこには描かれている。この映画は時間や空間と優雅に戯れながら、いわゆる伝記映画らしさを拒絶している。前半の退屈さは例えばミア・ハンセン=ラヴの『Eden』に通じるようなダラダラ感だ。その感覚的な部分はイマイチわからなかった。90点。