ボーン・スプレマシー

ポール・グリーングラス、2004。ボーンシリーズ2作目。前作は見ていないのだが十分に楽しめた。劇場でカネ払って見てもいいと思わせるだけの娯楽性があった。ポール・グリーングラスは『ブラディ・サンデー』で注目を浴びて監督に抜擢されのだと思う。確かに演出技法も撮影技法もこの映画に似ているのだが、この抜擢は素人目線だとすごいとしか思えない。脚本がちがうだけなのかもしれないが、『ブラディ・サンデー』で見られた退屈さがこの映画にはないのだ。スリリングでスピード感満載の映画になっている。だからこの抜擢の成功はさすがハリウッドという感じはする。この映画は娯楽性を犠牲にしてまでサスペンスを強調したりはしない。とかく難解になりがちなこの手の映画のなかで、この脚本が見せるマット・デイモンの行動論理はシンプルにしてエレガントだ。女を殺された復讐劇としてはじまり、最後は自分が殺した夫婦の娘への償いへといたる。マット・デイモンの孤立っぷりも鮮やかである。女の死から見事にすべてに対して孤立しており、記憶まで危ういのだから、絶対的に存在する自分の身体に対する感覚は超人的であるとわかる。これがCGによる超人的な描写としてではなく描かれていることによって、この映画はまるで70年代の映画のような佇まいも持っている。デモ隊の演出であるとか、カーチェイスのカッティングであるとか、端的には三つ巴の構図だとか、そうした3つ以上のものを混在させながらスリルを演出していく手腕が際立っていた。ジョーン・アレンが映画の司令塔的な役どころを見事にを演じていた。95点。