ノクターナル・アニマルズ

トム・フォード、2016。この映画は、エイミー・アダムスの現在と回想と元夫が書いた小説という3つの世界が描かれている。小説をメインにしながら度々アダムスは過ぎ去りし元夫との日々を回想する。いくつかのキーワードが3つの世界を関連付け、「復讐」というキーワードが大きく印象に残る形となる。この映画は脚本がそれほどおもしろいとは思えない。特に小説は小説的なよさよりも映画的なよさが印象に残った。ただ、それほどスリリングな展開を描写するわけでもないのに、この映画は飽きることなく見れてしまう。その理由は3つの世界の移行の鮮やかさと、美的映像センスによるところが大きいだろう。色のバランスなんかはさすがデザイナー監督というくらい洗練されている。役者も素晴らしくエイミー・アダムス、ジェイク・ギレンホール、マイケル・シャノンは映画を一段階引き上げていた。この映画の小説世界は、小説と現実とが微妙にリンクするというよくある小説になっている。それを元妻に送りつけるんだから非常に趣味が悪いと思う。それが「復讐」というキーワードにもつながるのかもしれない。この「復讐」というキーワードは小説内以外では非常にわかりにくく、ラストにまで及んでさらにわかりにくくなる。「弱さ」のキーワードはほどほどにわかりやすく描いている。でもこの映画を、エイミー・アダムスの元夫が小説を書いて強くなって復讐してきたと考えるとゲンナリするものがある。息づかいまで聞こえてきそうなサイレントな場面の多さは映画の美しさとマッチしていた。95点。