インセプション

クリストファー・ノーラン、2010。映像を夢(CG)によってコントロールできる場合、その映像がCGをふんだんに使ったショットであれ、使われないショットであれ、映像にかなりの強度を見る者は要求する。普通では見られない強烈なショットや美しいショットなどだ。そういった意味でこの映画はほとんどなにも提示してくれない。夢という、CGにとってのパラダイスを獲得しておきながら、大胆なCGはエレン・ペイジのパリとディカプリオの街くらいのものだろう。映像展開に力がないのには理由がある。もちろん緻密さに欠ける脚本が足かせとなっているのだが、最大の弱点はコティヤールの存在を引きずるディカプリオだろう。映画によい意味での二面性がもたらされることはなく、どうもガタついた映画になっている。コティヤールは大好きな女優なのだが、コティヤールや子どもたちが出てくるたびにゲンナリした。説明的な台詞が多いのも厄介だ。字幕で見たのだが早すぎてほとんど読んでいない。二度見るような映画ではないから吹き替え版でみるべきだったのかもしれない。一介の学生エレン・ペイジを虚無の世界の際まで誘い込んでしまうのは、どうにもテキトーな感じがしたし、渡辺謙が参加するのも超テキトーだ。そしてボスのディカプリオがコティヤール、子ども、コティヤール、子どもなわけだからそりゃ無茶なチームだわと思えてしまう。個人に絞れば、ジョセフ・ゴードン=レヴィットの無重力下の優雅な舞いはクロスカッティングのなかで素晴らしく効いていたし、トム・ハーディは一貫して頼りになる男という感じで、いなくちゃならないメンバーだった。90点。