ファンタスティック・プラネット

ルネ・ラルー、1973。特異な世界観が映画全体を貫いている。それは端的にいえばローラン・トポールの作画であり、アラン・ゴラゲールの音楽である。音楽はいま聴くとちょっと古めかしくもあるのだが、サイケやプログレな感じは映像との相性もよかった。人間と巨大宇宙人がいる世界という設定で、人間のナレーションが入る。当然人間視点の映画だと想像するとそうでもないことがわかる。その象徴がスーパーロングショットによる人間の撮影だ。人間たちはアリのようにしか見えないのだが、やたらとこれを多用する。スーパーロングショットは巨大宇宙人の目線とほぼ等しい。宇宙人は宇宙人なりに凝った動きも演出されるのだが、人間は人間なりの凝った動きがあまり演出されない。スーパーロングショットによるアリの大群のような動きがあり、大昔の横スクロールのテレビゲームのような単調な動きもある。アップになると完全に宗教画のようになってしまう。つまりこの映画は人間と宇宙人の映画なのだが、アリのような人間と、人間のような宇宙人の映画になっているのだ。物語は人間に重きを置いて語られるのだが、ショットの構成をかなり宇宙人寄りにすることで、巨大宇宙人と戦う人間というありがちな映画の構図を破壊しているのだ。物語としてはかなりテキトーな部分もあるし、人間が中心となる後半はキリスト教的受難をイメージさせたりして失速気味になる。それでもこの映画を決定づけているのはあくまで映像と音楽の世界観であり、その世界観は短い映画をとおして飽きることがなかった。短い映画としては素晴らしく強烈で特異で奇妙な映画だった。95点。