いつか晴れた日に

アン・リー、1995。ジェーン・オースティンの原作モノだと、近年の映画では『エマ』と『プライドと偏見』とこの映画になると思うのだが、この映画はジェーン・オースティンをいかにして映画化するかという難問を感じさせないような魅力的な映画になっている。まずこれがハリウッドデビューとなるアン・リーの演出力がすごい。ただ楽しんで見ているだけでも鮮やかな演出には何度も驚かされた。セットのなかで人物をどう配置してどう動かすのか。そしてそれをどう撮るのか。会話をカットバックするにしてもそのタイミングやフレーミングは適切に調整されているしカットバックしない会話もある。屋内シーンと屋外シーンのバランスがとてもよく、それらは相乗効果をもたらしている。主演のエマ・トンプソンによる脚本が素晴らしい。原作を読んだのだが、脚本では登場人物を削ったり、人間描写を削ったり、原作では活躍しない三女を活用したり、原作にあったシーンに別のシーンのエピソードを重ねたりと、かなりの才気を感じさせる大胆な脚色になっている。でもラストの告白シーンをオースティンは書いていないし、映画も同様に映していない。そういうわかってる感もちゃんと盛り込まれているからこそ、オースティンファンとしても楽しめるし、映画ファンとしても楽しめるものになっている。ともあれアン・リーの理知的かつ野心的な演出あってこその映画であることはまちがいない。95点。