モーターサイクル・ダイアリーズ

ウォルター・サレス、2004。ロード・ムービーとしてこの映画見るとつまらない。この映画はエリート仲良し二人組の無茶な旅行記であり、ある程度事前にやるべきこともブッキングしたうえで旅立っている。そしてモーターサイクル映画でもないしダイアリー映画でもない。これはゲバラと親友が旅するラテン・アメリカの映画だ。ゲバラとラテン・アメリカは、ロード・ムービーとしてではなく物語的によく描けている。ゲバラの出発から帰国までのあいだの心の変化は見て取るようにわかる。出発前の状況説明がないのだが、医学に関して言えば、大学から地べたの医学への変化に戸惑うどころか志がより高めてゆく。社会情勢に関しても、旅する医学生であればペルーやチリの情勢はある程度情報として知っていただろう。それでも現場でそれを体験することで情報が身体化する。でもそれとバイク二人旅とがうまく溶け込んでいない。そこをロード・ムービーとして描いてもらいたかった。何が起こるかわからない、大抵は何も起こらず時間と場所だけが移りゆく。その優雅な時間を描くことがロード・ムービーだと思う。だからバカなバイク旅行記から現場体験という二本立て映画のような構成がよくわからない。ただ映画体験として圧倒的だったのはラテン・アメリカの風景だ。このような風景をたくさん見られる映画はあまりないだろう。史実と照合しているのか、その風景を堪能したいのにモーターサイクルが邪魔してくる。ロード・ムービーを撮れる状況で撮っていない、もしくは撮れていないことは、ロード・ムービーのファンとしては納得できなかった。90点。