トゥー・ラバーズ

ジェームズ・グレイ、2008。ジェームズ・グレイの映画にはとことん弱い。この映画も例外ではなくとことん弱い映画だった。イカれた男女の恋物語なのだが、いつものようにエレガントな演出技法や撮影技法が冴え渡っている。色の使い方が素晴らしくて、特に屋上の青が印象的だ。アパートの中庭越しの『裏窓』のような設定があるのだが、ここでは『裏窓』と同様にカメラはホアキン・フェニックスの視線から逸脱することはない。二組の男女が登場するのだが、その類似と対照はこの映画を決定づける要素となっている。ホアキン・フェニックスはふたりの女性に愛の告白をする。しかし本当に愛しているのはグウィネス・パルトローであることは明白なのだ。それは台詞で説明されるわけではなく、演出によって明確に示唆される。オペラ音楽や着信音が常にパルトローの影響下にあるフェニックスを映し出し、一方のヴィネッサ・ショウはその登場シーン以外において影響を及ぼすことはない。終盤に訪れるジェームズ・グレイらしい宿命的な別れのシーン。ここではじめて中庭が効果的に使われている。緑の照明も効いており素晴らしいシーンだ。グウィネス・パルトローのつかまえられない感じがバリバリに漂う存在感は、裏窓片乳効果も相まって見事なものだった。ラストは、イカれた女は愛を勝ち取り、イカれた男も愛を勝ち取る。ここにも類似と対照が見て取れる。映画全体を貫くエレガントでテクニカルな演出は見ていてまったく飽きることがなかった。100点。