6才のボクが、大人になるまで。

リチャード・リンクレイター、2014。2004年の『ビフォア・サンセット』では、80分間の出来事がそのまま80分間の映画になっている。それに対してこの映画は、12年間の出来事を12年間かけて撮影するというものだ。映画のスタイルを考えると12年かけて撮影しなければならないものだと感じさせる説得力がある。出来事を羅列してゆくそのスタイルにおいて12年にわたる撮影は見事に効果を発揮している。単純なシーンチェンジで年月が経過し、その取り上げた時間に特別なことが起こるわけでもなかったりする。脇の登場人物はシーンが変わると消えたりする。ドラマチックな描写は排除され、ただときが流れるように映画も流れてゆく。この演出スタイルは原題である『少年期』の記憶に近いものがある。この映画は6才の少年が大人になるまでを描いた映画ではなく、少年が親元を離れるまでのまさに少年期を描いた時間の映画なのだ。そこで見えてくるのは少年の成長よりも、少年目線の様々なアメリカの大人たちである。少年目線であるからこそ大人たちの厄介な諸事情に深入りすることはないし、少年自身の体験も時間があっさり消し去ったりする。出来事の羅列には少年たちの加齢をともなう。そこで見えてくるのはやはり時間なのだ。『パリ、テキサス』のロケ地が使われたりしているのだが、共通点があるように思えた。時間と空間にまつわるロードムービーという視点、崩壊した家族というアメリカの風景、そしてなにより未来を託される少年。『パリ、テキサス』のような特別な映画にはならなかったし、長い映画は嫌いなのだが存分に楽しめた。95点。