殺したい女

デヴィッド・ザッカー、ジェリー・ザッカー、ジム・エイブラハムズ、1986。幼馴染のジム・エイブラハムズとザッカー兄弟による、いわゆるZAZ作品。青春映画でもないのにこれぞ80年代という雰囲気が映画に充満している。とにかく素敵だったのがヘレン・スレイターだ。80年代のにおいがプンプンする可愛らしさや、育ちの良さ丸出しのすれていない演技を見ているだけで、アイドル映画として十分に満足できるものだった。映画の登場人物たちは70年代的なのだが、音楽や色使いなど空気は思いっきり80年代になっており、それがこの映画をほどよく軽薄なものにしていた。悪事と悪人の分離がこの映画をおもしろくしている。ただ善人も悪人も間抜けなことでは一貫しており、おぞましくもキュートですべてが間抜けな世界が見る者の笑いを誘う。ただ喜劇人っぽいのはダニー・デヴィートだけであり、他の人物にはもっとキレのある演出でおもしろおかしく見せてほしかった。ダニー・デヴィートの愛人や警察署長はもっと醜態を晒したほうがいいと思ったし、ベット・ミドラーはもっとおばちゃんパワー炸裂したほうがいい。電話の使われ方は見事に映画を活気づけていた。脚本にも難があるといえばあるような気はする。でも殺そうとした妻が誘拐されるというあらすじのおもしろさでこの映画はほぼ決まりという感じがした。とにかくこの映画は菓子でも食いながら気軽に見られる娯楽映画だから楽しまなければ損というものだろう。ZAZ作品はもう少し見てみようと思った。90点。