シザーハンズ

ティム・バートン、1990。ウィノナ・ライダー目当てで見たのだが、やはり初期は1989年の『ヘザース/ベロニカの熱い日』のほうが映画としてもウィノナ・ライダー出演作としても格上だと思った。この映画のウィノナ・ライダーはただのヒロイン役にすぎない。この映画の主役は下山したジョニー・デップに対する街と街の人々だろう。まず下山させた張本人ダイアン・ウィーストが素晴らしい。デップに対してブレない信頼と愛情を捧げまくるのだ。この愛情が強固すぎるために、のちに起こる様々なある意味くだらないゴタゴタ劇も見ていられる。ウィノナ・ライダーの彼氏は唯一パーフェクトな悪人として登場する。この彼氏がきっかけとなりウィノナ・ライダーはデップを理解するのだが、母親ダイアン・ウィースト譲りの育ちの良さをすでに備えているために、デップと彼氏を過度に対照させる必要がないのだ。だから善のデップと悪の彼氏という構図も色濃く反映されてはいない。この映画は、異能の奇形が下山して山にもどる顛末を描いているのだが、古城と街の対照が圧倒的だ。街から古城は山を見上げるように見えるのだが、その道中はすべて省略される。だから古城から80年代的ハイパーポップでパステルカラー満載の住宅地にはワープするような感覚がある。パンフォーカスが多用され、同じ種類の構図も多用されている。そのようにして住宅地という世界が見事にセッティングされてゆく。土台がよければあとは少々くだらない物語でも見ていられる。この映画ではダイアン・ウィーストと郊外の住宅地が映画の中心であり、そこはよく描けていたような気がする。90点。