龍三と七人の子分たち

北野武、2015。『アウトレイジ』はおろか『ソナチネ』で止まっていた北野武を久しぶりに見た。脱力系デタラメエンタテインメントという感じのとても見やすい映画になっている。笑いが全編に渡って登場するのだが、笑えるものはほどんどない。笑いの前振りの段階で落ちがわかるものが多すぎた。編集を監督自身がやっているのだが、大人数が座っているシーンがいくつかあり、そこでは奇妙なタイミングでカットされるショットが数多く見られた。中尾彬が死んでからラストまでの30分くらいはデタラメさが心地よいものに思えたのだが、この映画にはいわゆるちゃんとした脚本があって、映画の大半はそのちゃんとした脚本とデタラメさの綱引き状態のような感じがあり、どっちつかずな印象を受けた。ちゃんとした脚本はあまりおもしろいものではない。だったらもっとぶっ飛んだデタラメさがほしかった。たとえば古澤憲吾のようなぶっ飛びなのか、森崎東やジョニー・トーのようなぶっ飛んだ活劇なのか、とにかくぶっ飛んだ状態でのデタラメエンタテインメントを見たかった。ただこの映画は脱力系でグダグダ系だからそれを求めても仕方がないのかもしれない。清水富美加のシーンは編集もよかったし、脚本もスマートで素晴らしかった。全体としては毒があまりにも少なく、あまりにも優しい映画になっている。そのバランスのとり方にはちょっと違和感があった。90点。