アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場

ギャヴィン・フッド、2015。ドローン攻撃でテロリストをやっつけろっていうドラマ。この映画がおもしろくもありつまらなくもあるのは、当然ながらパンを売る少女をフィーチャーした点にある。あれだけパンを売る少女を描写するのだから物語の主人公は少女となる。ということはひとりの少女の命を守るのか、多数の犠牲を取るのかで逡巡するドラマという構造になる。それならばもっとスリリングに少女を描写できたのではないかという気がする。この映画はひとりの少女の命によって浮き彫りにされる組織の脆弱性や個人のエゴや正義や人道主義などが物語の軸となっている。でもとにかくあの少女ひとりにフォーカスしなければ話にならない。現実を見ればドローンの誤爆や正しい爆撃によって民間人が死んだなんてのはニュースにもならない日常茶飯事になっている。その現状とこの映画の乖離を考えると、スリリングに展開されるゲーム性の高い娯楽作品ととらえるべきだろう。ヘレン・ミレンたちの逡巡も、どちらかといえば承認するかしないかの駆け引きを楽しむサスペンスだ。この映画は少女の死のリスクを承知でテロリストを殺したことが正しかったのかは問わないし問われない。どちらもメッセージとしては陳腐だからだ。パンを売る少女のスリルと、承認の駆け引きのスリルが、ド派手な音楽とドローン映像によって引き立っている。しかし少女とヘレン・ミレンたちが政治や人道だけではなく、映画の構造として離れていても接近した関係みたいなものを見たかった。ドローン映像が決め手となると思ったのだがそこまでのものではなかった。90点。