きみはいい子

呉美保、2014。オムニバス形式のドラマ。この映画の主たる演者は、大人も子どももみんな子どもとして人物造形されている。そして子どもの子どもらしい部分を豪快にひけらかす。特に前半はガキの戯れに終始している。そして後半になって動的な展開になる。まず前半をくだらないと思いながらも真面目に見られたことは自分にとって大きな体験だった。集中力を維持したまま、自分にとってはつまらない物語を見つづけることができた。途中で見るのをやめてしまうと後悔することになるから、そこをクリアしたときにはうれしかった。苦行に耐えた僧侶のような気分だった。この映画にはいまや名脇役となった池脇千鶴が出ている。しかしこれほど冴えない池脇千鶴はめずらしい。無理のあるデフォルメされたキャラクターを演じるのに精一杯な上、見せ場で尾野真千子の抱えるフロイト的因果に基づく問題らしきものを即了解する離れ業を見せるなど酷使が目立った。高良健吾の裏のない笑顔や真顔はこの厳しい役にはピッタリだった。起伏のあるドラマを起伏なく演じることに成功している。ラストの高良健吾のダッシュはもうちょっと映画的なカタルシスを得られればよかった。ボケ老人と障害児童のパートは加部亜門の素晴らしい演技もあり引き締まっていた。だがこの映画は子どもが苦手な人は見ないほうがいいと思う。動物モノと子どもモノは極力避けているのだが、気づかずに見てしまった。ちょっと不細工だがいい映画だと思う。しかし映画の選択をまちがえた。90点。