マーニー

アルフレッド・ヒッチコック、1964。オープニングからショーン・コネリーとティッピ・ヘドレンが結婚するくらいまでが特におもしろい。全員が謎めいていてティッピ・ヘドレンの母子のシーンなんて素晴らしく奇妙だった。そのあとはラストシーンを引き出すまでの精神医学的なたゆまぬ努力といった感じでダレてくる。それでも映像演出はさすがヒッチコックという部分が随所に見られる。ショーン・コネリーの会社に入社したてのティッピ・ヘドレンが金庫をうかがうシーンのショットの構成はとてもエキサイティングだ。起こっている出来事を映し出すカット割りに金庫狙いの視点のショットが異物のように混入する。とてもスリリングな映像演出には驚かされた。同じ場所での金庫破りのシーンでも素晴らしい映像演出が見られる。スーパークローズアップからスーパーロングショットへのカットから掃除婦とティッピ・ヘドレンの描写へと移行していくシーンはとてもおもしろい。この映画は、映像演出は素晴らしいが物語や演者はイマイチ、というヒッチコックによくあるパターンの映画だろう。精神病理学的なアプローチがメインになっているのに脆弱な感じがするし、ショーン・コネリーは保護者や慈善活動家のように見えてしまった。ショーン・コネリーの偏執的な愛情や性的欲求と、ティッピ・ヘドレンの泥棒癖は密接につながっていると思われるのだが、そこは納得できる描写にはなっていない。評価としては下り坂的な作品になってはいるが、映像演出の大盤振る舞いを見る限りまだまだグイグイ攻めている。90点。