カプリコン・1

ピーター・ハイアムズ、1978。前半のSFにしても後半の砂漠の航空アクションにしても、スリルやサスペンスがまるで感じられない。かといってリアリティがあるわけではないから、一体全体なにをやろうとしているのかわからない。脚本の段階でA級に作ってもB級に作っても歴史に残る話題作となるのはまちがいないだろう。しかしこの映画はBなのにAを撮っているかのように見える。隠蔽される事実とそれによって消される宇宙飛行士たち。物語はそのラインのなかでひたすら重々しい展開を見せる。唯一、記者のエリオット・グールドだけが軽快であり無敵な役回りを演じている。だからエリオット・グールドの周辺はおもしろいし痛快だ。撮影で気になったのが良いショットではないのにカットしなかったり、すごく引いた場所から長回しで撮影したりするところだ。この撮影スタイルと映画から感じられる鈍痛はかなり類似している。だとすればそういう鈍くて重々しい映画に撮影スタイルは有効に作用していることになる。エリオット・グールドのヒーロー物として見れば目的も達せられるしおもしろいシーンもあるし上々の出来だといえるかもしれない。しかしそれ以外はスケールの大きさに対して視点がかなり脆弱に見えるのがもったいない。いろんな見方ができる映画だと思うのだが、エリオット・グールドの映画としてしか興味がわかなかった。90点。