引き裂かれたカーテン

アルフレッド・ヒッチコック、1966。音楽がバーナード・ハーマンではなくジョン・アディソンになっており、撮影がロバート・バークスではなくジョン・F・ウォーレンとなっている。特に撮影はずいぶん違う印象を受けた。自然光とまではいかないが照明があまりキツくない。それにドキッとするようなショットの構成が度々見られた。最大の衝撃は唯一の殺しのシーンである農家のシーンだ。殺しのシーンとしてはかなり長いのだが、あちらが優勢になったりこちらが優勢になったりして長くなるのではなく、キッチンにある小道具で殺しがおこなわれるから長くなるのだ。このシーンのショットの構成は極めてヒッチコック的なアイデアに溢れている。この映画はスパイものなのだが、ポール・ニューマンがスパイとしては三流に見える。そういうところはヒッチコック映画の脚本の乱暴さなのか、主演クラスを演出する能力がないのか、いつも残念な形になる。ヒッチコックはジェームス・スチュワートとケーリー・グラント、そしてグレース・ケリーでなければダメなんじゃないかとすら思えてくる。この映画も、ポール・ニューマンとジュリー・アンドリュースが好演をしていたとはとてもいいがたい。スパイを助ける組織の頼もしさと、間抜けな警察との活躍もあり無事に逃げる。残念だったのは教授の数式をメモリーするんじゃなくメモするポール・ニューマンの無様な姿だ。これによりポール・ニューマンの無能さが露呈されたような気がする。唯一殺された男や、スパイの重要なメンツは存在感があって素晴らしかった。恋愛は相変わらず芳しくない。90点。