レディ・チャタレー

パスカル・フェラン、2006。小粋なスーパークローズアップが所々で効いている。あの森が二人だけの世界として設定される迅速さが素晴らしい。わずかに音がする森があり、そのなかの光を見事に取り入れる撮影も感動的だ。そしてセックスをしまくって愛を確かめ合うのだが、古典劇の定番、手紙によって状況に変化がもたらされる。たがいにちがう方向を向いてしまうと思いきや、ラストに樹の下で炸裂されるトークでは離れそうになったり近づきそうになったりしながら、結局全身全霊愛してますというオチになるのだが、その微妙なニュアンスを多々含む会話劇には圧倒させられた。ここでのカット割りも素晴らしい。主演のマリナ・ハンズの演技はとてもよかった。世間知らずのお嬢様ではないのに、例えばセックスは初めてのように見える。その何度もあるセックスシーンもマリナ・ハンズの表情が中心でありエロスをあまり感じさせない。晴天の雨のなか全裸で走り回るシーンでも、破天荒な感じはしない。純真なこころを持つかなり大人なレディという設定は常に保たれている。相手のジャン=ルイ・クロックも最後で告白があるのだが、マッチョなイメージをことごとく排している。これは女性が撮った映画というのも影響しているのかもしれないが、いやみったらしいメイドババアとか、人間扱いしない亭主とか、お得意のうわさ話とか、そういうのは出てこない。ひたすら優しさに満ち溢れた映画であり、森がその優しさを象徴している。素晴らしい森の映画だ。95点。