石の微笑

クロード・シャブロル、2004。この映画は話の展開がとても早いのだが、そのなかで見えてくるカメラワークや人物の動かし方にはうならされるばかりだ。特にその画面においてメインでない人物の動きなんて細かな演出が行き届いていて感心してしまった。テクニカルには、シンプルな演出の凄みを感じさせる素晴らしい映画になっている。内容のほうは、終わってみればブノワ・マジメルとローラ・スメットの危険な恋の関係は、マジメルが本当に殺したのか、とスメットに電話し、警察にタレ込む。ただそれだけの映画なのだが、マジメルはひたすら守られる。仕事は順調すぎるくらいだし、精神的に破滅してはいないし、ホームレスの殺人は別人だし、母の元カレの殺人もまた別人だ。マジメルは石像に守られているということになるのだろうか。石像は両親や家族を象徴していると思うのだが、それに対するだけの危なさをスメットが持っていたかどうかは疑わしい。それはリアルなスメットを知ってからのマジメルの行動を見ればわかる。一切泥沼にはまることがないのだ。つまりこの映画は、家族の日常のなかで起こる長男のラブサスペンスという感じになっていて、当然ラブサスペンスは外せないのだが家族のドラマも外せないのだ。とはいえ物語展開よりも映画技法のうまさが目立つ映画だとは思う。95点。