暗殺のオペラ

ベルナルド・ベルトルッチ、1970。ドキュメンタリータッチの不自然さとフィクションの自然さの相互関係。あるいは英雄と裏切り者、少年と少女、個と集団といったような、反対のものをあっさりと転換してしまう描写。これは物語の構造についてもいえることで、映画はふたつの時間軸があって、その区別ははじめは明確なのだが、徐々に曖昧になっていく。そして演じるという意味が重層的に使われることで、撮影技法としても物語としても、簡単にいえば難解になってくる。しかし、時間軸や物語が曖昧になることで、映画を見るうえでの軸を失うかといえば、そうはならない。軸がぶれたり難解になりすぎたりしないのは、ベルトルッチの演出も大きいのだが、なによりヴィットリオ・ストラーロの美しきカメラワークにある。植物のとらえ方が素晴らしく、奥行きのあるショットの構図や、カメラワークなんかは奇妙なものが多々あるものの極めてエレガントだ。植物についてはラストでダメ押しのように映画をまるごと収束させてしまうのだから、その衝撃たるや尋常ではない。かなり普通のドラマのカット割を避けている印象があり、役者が見ているものを次のショットで主観ショット的に見せてくれることはほどんどない。前半はかなり省略したショット構成が多く、後半はかなり混沌としたショット構成が多い。後半の求心力が凄まじくて、身動きが取れなくなってしまった。100点。