白ゆき姫殺人事件

中村義洋、2014。ワイドショーやツイッターの人間描写におもしろいものなどあるわけがない。そしてこの映画はよくありがちな、しがらみまみれの女同士の関係の物語だ。最後のどんでん返し的な展開すら想像を超えるものではない。この映画のおもしろさはその女同士のしがらみや、ミステリーが解き明かされていく過程にある。ツイッターはもちろん主役がいないわけだし、テレビですら主役の綾野剛は使えないただの出来損ないだ。生瀬勝久の存在は無責任さの象徴のようだった。その無責任さは、振り返られる井上真央の人生すべてにどどっと押し寄せてくる。その無責任さがトリガーとなって撃たれる人がいる、というような構造をこの映画は全般を通じて持っている。警察が出てこないのもいい。この映画は無責任さのディストピアなのだから。もし警察を無責任に仕立てようとすればそれには責任が必要になってしまう。この映画はとことん無責任にトリガーを引いて撃つような言動が繰り返されなければならないのだ。そうした言動にまみれてからのラストの火の持つ威力が凄まじい。実際こういう世界はディストピアよりも現実世界に近いと思う。そういう危険な現実に有名女優たちが平然と無責任に登場しているのが素晴らしく、ドキュメンタリーの手法を敢えて強調せずに描いているのもまた素晴らしい。あ、そういえば、という有名女優が何人も出ていた。ただミステリーやサスペンスとしてのドキドキは少なく、その分ドキドキせずにのんびり見られるのだが、もう少し演出でもカメラいいからドキドキしたかった。90点。