フラッシュバックメモリーズ 3D

松江哲明、2012。まず音楽が素晴らしい。この映画は尺が短いことや、音質がとてもいいこともあり、GOMA & The Jungle Rhythm Sectionのライブ映像として見ているだけでも飽なかった。その演奏の文字通りバックに、過去の映像や文字や絵やアニメーションが流れるというのが映画の基本的な構成になっている。記憶障害を抱えたGOMAの過去が現在のGOMAのバックで流れていくのだ。映画は障害の悲劇やそれを乗り越えようとする過酷なリハビリなどを映したりはしない。そもそも障害について語られるのはGOMAと妻の日記のみで、取材映像のようなものもない。なぜなら障害を乗り越える過程などは作品のテーマではないからだ。この映画は、過去と現在と未来を、GOMAという素材を活かしながら様々なアプローチで見せていき、将来への希望を提示している。将来への希望を抱くのは当然現在思うことであるから、ありきたりにいえば、この映画はマインドフルネス的な、いまこの瞬間を生きることのかけがえのなさを見せているのだ。映画でいえばライブが現在であるからライブが重要になる。そしてそれに答える充実のライブがある。しかし終盤にはライブの映像が過去を示すアニメーションで提示され、このライブ映像すら覚えていないとGOMAの日記は語る。過去も未来もない、現在しかないとまでは、この映画はいわない。しかし現在というものを、記憶や記録を手がかりに興味深い形で意識させてくれる映画だった。100点。