ROMA/ローマ

アルフォンソ・キュアロン、2018。この映画はキュアロンの2001年作品『天国の口、終りの楽園。』の延長線上にあると思う。車、旅、海岸、男女、別れ、死、などが同じような雰囲気で描かれている。まずカメラと演者との距離をドカンと最初っから引き離してしまうのは『天国の口』も同じだったような気がする。この映画でいえばカメラのポジションと長回し。ジャ・ジャンクーみたいに映像に大陸的などっしり感がありながら、奥行きの演出美学は、演者の動きはミニ・ゲルマンか、映像美学はミニ・ストラーロか、というくらいに美しい。この映画は動作でつなぐカット割やアップのショットなどは皆無だ。会話におけるカットバックにもまったく興味がない。とても芸術的であり、イコール飽きさせるような演出になっているのだが、これが飽きさせないのだからすごい。この映画は家政婦の物語であり、映画は家政婦にいつも寄り添い、家政婦の知らないものを映画が知ることはない。それでいて家政婦も他の演者と同様に、遠くにほっぽり出されたような形で演出される。そんななかで描かれるのは主に男と女の物語だ。成人男性は徹底的に排除されているのだが、その不在が物を語り、車や破壊などは、男を示唆し意図的に強調している。忘れられないのが、水のモチーフ。冒頭の意味がしばらくしてわかるところや、ラスト近辺でも水とウンコが重要なモチーフになっている。あとは音。この映画は水の映画であり音の映画でもある。演者では婆さんと奥さんがすこぶるかっこよかった。100点。