15時17分、パリ行き

クリント・イーストウッド、2018。最近イーストウッドは実話に基づく映画を撮っている。そして英雄を取り上げることも多い。この映画もそういう映画だ。しかし、この映画がとりわけユニークなのは、英雄が極めて凡人であることだろう。しかもその実話の英雄たちを実際にキャスティングして撮っている。この映画に漂いつづける凡庸さは見事だ。特に3人組の学生時代や軍隊でのストーリーの凡庸さや、欧州旅行のパーフェクトな凡庸さ。しかし映画として見たときにこのような凡庸さを獲得している映画はあまりないのではないだろうか。えげつない描写がスタンダードになっている学校や軍隊。旅行にはトラブルがつきものだ。しかしこの映画にはそういう場面はない。そんな奴らが平俗な世界から突如としてテロを阻止する英雄になる。そこでもイーストウッドはアクションをリアルに、しかし活劇風であったりサスペンスフルに撮っている。宿命だとか運命だとか、そういった流れがイーストウッドの映画には常にあって、今回そこに乗っかるのは名もなき市井のちょいワル青年たちなのだ。それをフィクションやドキュメンタリーを超越したような、再現フィルムという形で構成している。決して饒舌な映画ではないのだが、後味の良いリアリスティックなヒーローモノになっている。95点。