ブリングリング

ソフィア・コッポラ、2013。二回目。実際にハリウッドで起きたティーンエイジャーによるセレブ宅の窃盗事件を題材としている。そして映画はセレブの味方も窃盗団の味方もしない。ただ表層的に物事が語られていく構成だからこそ、醜悪な世界は美しいブランド品や美女たちに囲まれていても、それはそれとして美しく見えてしまう。ソフィア・コッポラ独特のブロンド美女の美的な撮り方は相変わらずだし、それをトラッキングするハリス・サヴィデスの見事なトラッキング撮影は空虚な少女たちに浮遊感を与え、その浮遊感は映画の主題である表層や虚構といったものと確実にリンクしている。音楽の使い方も素晴らしい。バウンシーなヒット曲を軽々しく大胆に使い、OPNによるオリジナルスコアが章立てるように映画を組み立てている。ハリス・サヴィデスは、これが遺作だからどうしても思い入れ深く見てしまった。特に移動ショットはいつものことながら素晴らしい。オープニングショットの次の移動ショットからすでに華麗だ。多用されるトラックバックも美しい。この映画はセレブの虚構性を三流高校生にまで落とし込み、メディアも家族も巻き込んでいる。だから虚構性の薄い裁判劇などはあっさりと省略される。セクシーな見せ場をセクシーには撮らず、スリリングな見せ場もスリリングには撮らない。表層的で胡散臭い世界を強調しながらもリアルに見えるのは、そうした細やかな演出ゆえだろう。95点。