マッキントッシュの男

ジョン・ヒューストン、1973。この映画、主人公のポール・ニューマンが何者なのか、イマイチわからない。英国の諜報部員ということなると思うのだが、それを強調するシーンは登場しない。このイマイチわからない登場人物というのが、この映画にはたくさん登場する。もちろんスパイアクション映画なのだから謎は大いに歓迎するのだが、わかりにくい脚本の結果としての謎の人物と、キャラクタライズされた謎の人物が、結構曖昧になってしまっていてかなり混乱した。そんな謎だらけの映画なのだが、意外なほどおもしろかった。息つく暇を与えないタイトな演出は素晴らしかったし、特にシーン割は鮮やかだった。混沌とした映画のなか、その中心軸となるポール・ニューマンとドミニク・サンダがブレていなかったことで、見ているほうもブレずにいられた。ロバート・ゼメキスの『マリアンヌ』は、この映画を下敷きにしていると思う。いくつかある共通点のなかでは、ドミニク・サンダとマリオン・コティヤールに見られる銃撃のかっこよさがあって、両者ともこころの内に抱えるものがあるのだが、それよりも女が銃をぶっ放す演出のかっこよさにしびれた。冷戦の影響もあり60年代以降スパイアクション映画はかなり量産されている。この映画はそんな大量の作品群に埋もれてしまうような映画なのかもしれない。でもそれにしちゃあおもしろすぎると思う。90点。