ショック集団

サミュエル・フラー、1963。精神病院で起こった殺人事件を追う記者が、精神障害者のふりをして潜入取材をはじめる。しかし潜入取材のほうはなかなかうまくいかず、キチガイ博覧会のごとき狂気のオンパレードに、記者も次第におかしくなっていく。ここでフラーは狂気のエナジーをいかに表現するかに徹している。だから映画的なデフォルメはかなりある。モンスターなキャラクターたち大集合的なムードが充満しているのだ。しかし色情狂の女たちのシーンは普通にああいうのを見たことがあったのですごく怖かった。原題『Shock Corridor』の通り、廊下が見事に舞台装置として機能している。そして光と影のコントラストの強い映像や、パートカラーで登場する日本や原住民や滝などが、朝鮮戦争やKKKや雨を拡張していく。精神病者のパートカラーというのは精神病者であればわかると思うのだがとてもまっとうな表現手段であるように思う。それに音のモンタージュも効果的で、幻覚幻聴をうまくコントロールしていた。キチガイの運動性はよく出ていたが、主人公の記者ピーター・ブレックは最初から怪しく、怪しいまま怪しい人間になってしまっていて、役不足の感は否めない。ストイックなキャラクターが狂っていくのならまだよかったかもしれない。とにかくこの映画は精神障害者のエナジーの発露が素晴らしい。そして舞台となる廊下が素晴らしいのだ。95点。