刑事ジョン・ブック 目撃者

ピーター・ウィアー、1984。アーミッシュの子どもが殺人を目撃することから、その後の一風変わった顛末を描いた物語。良くも悪くも多くを語らない映画である。ハリソン・フォードは警察内部の事件のことを多く語らないし、アーミッシュの村で過ごすハリソン・フォードにアーミッシュの教えが語られることもない。寡黙な映画ならではの良さは十分にあって、それは寡黙なアーミッシュと寡黙なハリソン・フォードの関係性に顕著にあらわれている。主演女優のケリー・マクギリスですら、ハリソン・フォードとの関係性においてはアーミッシュならではの曖昧さがある。それを敢えてそのまま描くことで、寡黙な恋愛物語が綴られている。アーミッシュの男たちとの関係性も納屋を作るという行為によって見事に語られている。長老の会議とかそういうものではなく言葉を使わない語りに終始している。アーミッシュのなかにハリソン・フォードみたいな男がいて、この類似と平行の関係が、ハリソン・フォードをアーミッシュの外部の人間であることを簡潔明瞭に説明している。冒頭は子どもの目線で展開したりと、カメラワークが素晴らしくポジションが的確なのだ。このカメラが寡黙な映画のなかにあって雄弁な語り手になっている。そのバランスが映画を面白くしているのではないだろうか。90点。