怪物はささやく

J・A・バヨナ、2017。余命いくばくもない母と孤独な少年。そこに怪物があらわれて3つの物語を語り、4つ目の物語はお前が語るのだ、と少年にささやくというお話。この映画の最大の魅力はオープニングクレジットでも顕著だった絵画的なアニメーションにある。1つ目と2つ目の物語もそのアニメーションによって構成されている。その美しき世界があり、現実的な怪物がいる世界があり、現実の世界がある。物語は少年との関係性を常に意識させる。それは類似や差異や対照といったものだ。怪物の語る物語のなかではそのバリエーションが提示される。そして現実世界ではフェリシティ・ジョーンズ演じる余命いくばくもない母との類似がほのめかされ、徐々に決定的なものとなっていく。少年は4つの物語の過程で成長し、少しだけ大人になる。怪物と母との関係の控えめな描写が素晴らしい。声は怖いし厳しいことばかり言う怪物もまた素晴らしい。キャラクター的に説教臭い大人になってしまうところをうまく回避していた。ラストに強力な反復のモチーフを効果的に使うあたりは心憎いものがあった。物語がやや混雑しており、うまく処理しきれていない印象がある。それでも少年とシガーニー・ウィーバーの踏切待ちの抱擁など、素晴らしいシーンもいくつかあった。美しいアニメーションが後半になって激減してしまったのは残念だった。95点。