東京流れ者

鈴木清順、1966。日活アクション映画や歌謡映画の流れにある任侠映画。つまりは大娯楽作といったところなのだが、そこに清順節がちょうどよい塩梅で乗っかっていてとても楽しめる。キメキメのアヴァンタイトルや、同じくキメキメの照明やセット、ぶつ切りのカッティングに鋭いショットが連発され、アヴァンギャルドなテイストが映画の端々に見られる。しかし娯楽と芸術の軋轢みたいなものはあまり感じさせず、それらは見事に調和している。基本的には歌ありアクションありの娯楽作品であり、物語はヤクザものによくある義理や人情を主題としたものだ。脚本も絶品とはいえないレベルのものだし、演者を演出するという意味においては、この映画の役者たちは物足りないところがある。そうなるとやはり清順節ということになってくる。異様な空間づくりと、これまた異様な照明。そしてショットやカットのおもしろさがこの映画を俄然おもしろくしているのだ。要所要所では空間と照明が効いていたし、全体としてはショットの多彩さや異様さ、それにカッティングが素晴らしかった。この映画を見渡したときに、歌謡アクション、アヴァンギャルド清順、正統な技巧派清順、という三つの要素が印象に残った。そして、正統な技巧派清順の素晴らしさが、娯楽と芸術を橋渡しするような形になっており、娯楽映画として楽しめるものになっていた。95点。