傷だらけの栄光

ロバート・ワイズ、1956。ボクシングのミドル級世界チャンピオン、ロッキー・グラジアノが、チャンピオンになるまでを描いた伝記映画。ポール・ニューマンがロッキー・グラジアノを演じ、一躍注目を浴びることになった。『レイジング・ブル』はこの映画からかなりの影響を受けていると思われる。この映画はとてもテンポが早い。ポール・ニューマンの悪な性格や荒い所作など、こちらもかなり早い。この映画の成功は、映画の早さとポール・ニューマンの早さがピタリとハマったことが一因といえるだろう。この早さがバタバタとしないのは、妻のピア・アンジェリと母のアイリーン・ヘッカートに依るところが大きい。そのブレないキャラクターは文鎮のような役割を果たしていた。撮影も素晴らしい。多くのシーンでは長回しによる早い展開を生み出していたし、カットを割ればそれはそれで展開は早くなる。とにかくショットの選択が的確なのだ。暗いシーンが多いのだが、あからさまなライティングを多用している。しかしそれが一貫しているものだから、映画の見た目を構成する上で欠かせない要素になっている。撒き散らされたエピーソードを回収できていない部分は見られた。しかしポール・ニューマンの家族との関係は、最後の父とのシーンでしっかり描き切っている。邦題の通り、傷だらけの栄光なのだが、どこか軽いタッチで描かれており好感が持てた。95点。