けんかえれじい

鈴木清順、1966。昭和10年の岡山。硬派な不良少年、高橋英樹は同居人に恋して喧嘩に明け暮れ、会津若松に飛ばされて、そこでも喧嘩に明け暮れる。バンカラロマン的な青春映画ではあるけれど、実際のところ戦争映画という色合いをかなり強く感じた。あとは西部劇の影響。喧嘩の舞台である山などの立体的な形状をうまく生かしている。清順だから撮影はかなり個性的だ。中距離のロングショットがやたらと多く、俯瞰ショットやローアングルを多用している。特に俯瞰ショットの使い方はとても奇妙なものもあるのだが効果的だ。段差のある人物の配置も多用され、浅野順子が道にいて男ふたりが壁の上にいて、それをロングショットで捉える夜のシーンなどは美しかった。他にもはしごや、肥溜めや、井戸や、山や、車など、立体的なシチュエーションがこれでもかと登場する。映画の調子は、高橋英樹が会津若松に行く前後から重たくなる。そしてヒロイン浅野順子が映画からいなくなる。その空白が、あの感動的な再会シーンを生んでいる。カメラがぐっとチルトダウンすると障子が破れて手が出てくる。なんと美しい演出なのだろう。浅野順子との再会からラストまでの映画のムードは非常に重たい。そして雪崩式に二・二六事件が起こり映画は終わる。脚本は新藤兼人なのだが、終盤は青春の終わりや平和の終わりが重たくのしかかってきた。95点。