ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション

クリストファー・マックァリー、2015。スパイ映画は物語設定が複雑になりがちなのだが、この映画も細かいところはわかりづらい。でもそこはハリウッドの娯楽大作らしく、見事に誰でも楽しめる映画に仕上がっている。序盤のオペラのシーンから、ヒッチコックの『知りすぎていた男』へのオマージュが炸裂するし、終盤では『三十九夜』のミスター・メモリーのようなことをトム・クルーズがやったりする。その他にもこの映画は往年のハリウッド映画のエッセンスが随所に散りばめられているのが特徴的だ。ヒロイン、レベッカ・ファーガソンのクラシカルな顔立ちは映画に気品を与えていたし、冒頭のレコード屋の女も端役ながら特異な存在感を放っていた。そしてコンピュータを駆使した作劇が多くあるものの、基本的にはカーチェイスや逃走や追跡が見せ場になっている。特にバイクシーンはトム・クルーズとレベッカ・ファーガソンと悪者たちが三つ巴でチェイスするものだから、さながらバイクレースを見ているようなエキサイティングなスリルがあった。サイモン・ペグとジェレミー・レナーは好演だったのだが、ヴィング・レイムスがイマイチだったのは、シリーズ物の宿命なのかもしれない。しかし全編通してダレることもなく一気に見られた。95点。