ダイヤルMを廻せ!

アルフレッド・ヒッチコック、1954。夫が仕掛ける妻殺害の完全犯罪計画の顛末が描かれている。もとは舞台劇で、この映画でもほとんどがレイ・ミランドとグレース・ケリー夫妻の自宅シーンのみで構成されている。まずヒッチコックにしては珍しくストーリー展開が良い。ヒッチコック映画はストーリー展開が雑な印象があるのだが、この映画はしっかりしている。ストーリーラインにもうひとつのストーリーラインが重なるような構成になっており物語に深みが出ている。そして殺人と捜査における段取りのおもしろさ。段取りに段取りを重ねて、捜査ではその段取りを追い、終盤でまた段取りがある。そうした段取りは映画のおもしろさを決定づけている。室内劇におけるカメラワークやカット割も素晴らしく、要所で大胆不敵なヒッチコック節も炸裂している。演者としてはヒッチコック映画の最高女優といってもいいグレイス・ケリーは当然のように素晴らしく、ジョン・ウィリアムズも最高だ。レイ・ミランドも難しい役柄を見事に演じている。しかし不倫男ロバート・カミングスは消化不良気味だった。台詞がとても多い映画で字幕ばかり追っていて画面をしっかり見ていないから、あと何回かは見てみようと思うし、それに耐えうるだけの映画にはなっている。95点。