決断の3時10分

デルマー・デイヴィス、1957。強盗集団のボスを汽車で護送することになった男が、決行に至るまでを描いた一風変わった物語。ボスのグレン・フォードをホテルの一室で見張る牧場主ヴァン・ヘフリン。そのふたりの関係性の微妙な描き方が素晴らしい。簡単にいってしまえば、他の者は皆、家庭もあるし怖いし管轄外だし、あんな悪名高き強盗団なんか相手にしちゃいられません、となって逃げるのだが、ヘフリンはまず最初にボスと家族の面会があって、ダメを押すように妻がホテルの一室にまで追っかけてくる。それでも折れない責任感というのか義務感というのか、とにかく男っぷりを発揮する。ただそこには迷いもあったりする。対するボスのフォードは一貫して余裕綽々だ。それに単なる勧善懲悪的な悪人ではないことがほのめかされる。その男っぷりと余裕綽々の交感みたいなものがホテルの一室以降、立ち現れてくるのだ。ホテルの一室で決定的な出来事は起こらないし、汽車護送計画は予定通り実行される。外ではヘフリンは針の筵なのだが、どうもフォードとヘフリンは一緒に逃げているように見せたりしていて、これもうまいのだが、最後にふたりがひょいっと列車に乗ってしまう演出も見事だ。そして象徴的に雨が降る。冒頭の事件の砂煙と、ラストの機関車の蒸気の演出は効いていた。グレン・フォードとヴァン・ヘフリンの好演も見応え充分だった。95点。