ザ・スリッツ:ヒア・トゥ・ビー・ハード

ウィリアム・E・バッジリー、2017。映画としてはよくあるタイプの作りになっている。過去の映像を交え、現在の証言で外堀を埋めていく。しかしながら、これはスリッツのドキュメンタリーなのだ。スリッツ以前と以降では、女性のバンドはぜんぜん違うものになった。ビキニ・キルもスリーター・キニーもプッシー・ライオットもスリッツがいなければ存在しないのだ。そんな偉大なバンドなのに映画を見てみると世に受け入れられたわけではないらしい。それこそVIPなバンドだと思っていただけにその認識のズレには驚いた。当時の音があまりないのは残念なのだが、映像は結構たくさん見られた。そこで見えてくる姿はアリ・アップを筆頭にかなりポップでエンターテイナーだということだ。この映画の映像以外にもたくさんの映像を見てきたのだが、こんな自由にやりたいことをやってるバンドにはめったにお目にかかれない。そしてその自由さは結構真剣に追求していたことがこの映画からはわかる。アリ・アップの証言不在で進む映画は、スリッツのイメージと憎いほどにピッタリあっていて、スリッツらしいドキュメンタリーになっている。字幕が多くて追いつけなかったから、何度も見られそうでファンとしては嬉しい限りだ。95点。