仁義

ジャン=ピエール・メルヴィル、1970。あらすじがよくわからない部分があった。とくに元警官とか刑事とかヤクザとか悪友とか、その類がいまいちよくわからない。アラン・ドロンとジャン・マリア・ヴォロンテだけはすんなりとわかった。極端に台詞を排除しているからというのもあるのだが、人物相関図や関係性が描き切れていなかったように思う。台詞が少ない分、映像で魅せるというのは十分すぎるほど出来ている。これはアンリ・ドカエの撮影の素晴らしさによるものだ。アンリ・ドカエはどの映画でも素晴らしいのだが、この映画では顕著にその良さがあらわれている。パンやズームが多用され、人物のトラッキングも素晴らしい。冷たい色合いの映像も見事だ。そしてこの映画で最大のポイントとなっているのが、メルヴィルによる扉の演出である。アンリ・ドカエは見事な簡潔さで扉を活かした画を作り上げている。アンリ・ドカエが素晴らしすぎていくらでも見ていられるといっても過言ではないような映画なのだが、いかんせん渋すぎる、いやしょぼすぎる部分があるのは否めない。最大の見せ場である強盗シーンが上手くまとまっているとは思えないし、その後もズルズルとまとまりに欠ける。ラストの演出プランはどうなのだろうと疑問に思ってしまうほどだ。それでもやはり多くの部分で映像の力には圧倒されるものがあった。95点。