スリー・ビルボード

マーティン・マクドナー、2017。何者かに娘をレイプされて殺害されたフランシス・マクドーマンドが、解決しない事件への抗議のために3枚の広告看板を設置するするところから映画ははじまる。しかし物語は犯人探しのベクトルへと進むことがほとんどない。そのあたり、大胆かつ予測不能な脚本が本当に素晴らしい。善人と悪人をバッサリと区別したりはしないし、登場人物の行動もかなりトリッキーでありながら、映画的な役割をきちんとこなしている。これにはキャスティングの妙もあるだろう。ウディ・ハレルソンだからこそトリッキーな状況は軽くいなせるのであり、サム・ロックウェルは変化を見せるのだが、どうせ変化するんだろうなと最初から思わせぶりだ。そこをしっかりと乗り越えているのだから、脚本も演技も見事という他ない。彼の存在が物語の傍流から本流へと誘われ、ラストへと至る流れは本当に美しい。そしてフランシス・マクドーマンド。映画はもちろん、アメリカを象徴するかのような存在感。トリッキーで、激情したり冷静だったり優しかったり善人だったり悪人だったりするのだが、見事にわからないというか、顔面で語るというか、共感をいなしたりぶった切ったりしながらも、つねに共感の近くにいるようなキャラクターを見事に演じていた。ラストが非常に良くて、暗転したときにはうれしくなってしまった。100点。