影の軍隊

ジャン=ピエール・メルヴィル、1969。ナチスドイツ占領下のフランスでのレジスタンスを描いた物語。かなり陰鬱な映画になっている。青を貴重とした冷たい映像と、抑制された演出によって、一気に見せてしまうのはさすがメルヴィルといったところ。人の移動もやたらと多くて画面が止まることがあまりない。ただリノ・ヴァンチュラの存在感のなさはなんなのだろう。原作モノだからそうなってしまうのだろうか。シモーヌ・シニョレが爆発的な存在感だったたため、そのアンバランスさがどうにも気になった。もしかしたらレジスタンスにヒーローなどいないのだという象徴としてのリノ・ヴァンチュラということなのかもしれない。実際のところ、いかにもレジスタンス、いかにもナチ、といったカリカチュア的な描写はこの映画にはほとんど存在しない。レジスタンス映画に発生しやすい、スリルやサスペンスもあまり発動することがない。そして銃撃戦などのアクションの少なさ。この映画は移動に次ぐ移動で成り立っているのだが、それがアクションの軸になっている。すべての人間がやたらと動いている姿は、世界が青いことと同じように映画のテイストを決定づけている。ピエール・ロムによる撮影は素晴らしかったのだが、欲をいえばアンリ・ドカエの撮影でも見たかった。ありえないことだけれど、メルヴィルのファンはついついドカエの画を空想してしまう。95点。