太陽を盗んだ男

長谷川和彦、1979。理科教師の沢田研二が原爆を作って政府を脅迫する映画。しかし作るまではちゃんとしている感じなのだが、脅迫する段になってネタがないものだから、野球中継を延長しろだとか、ストーンズ呼べだとか、当時でいえば広島や長崎へと向かうはずの原爆のラインがあると思うのだが、この映画にはあんまりその気がない。今の視点で見ると、オウムの事件や311などによってよりこの映画は近しい存在になっているから時代を先取りしているともいえる。しかしなんだかとても不可解な映画だ。後半はもうド派手なエンタテインメントになっていて、撃たれても起き上がる不死身の刑事、菅原文太と、核抑止力によって守られているような沢田研二の闘いになる。どうもこの映画は『タクシー・ドライバー』に似たところがあって、沢田研二とデ・ニーロには似た部分がある。ただこちらのほうが圧倒的に滅茶苦茶だ。池上季実子はこの映画にふさわしいぶっ飛んだヒロインを好演していた。全体的にはちょっとだらだらした部分があって飽きがきた。尺が長めの映画で、少々無駄があるようにも感じた。この映画、良い無駄と悪い無駄の混在がやたらと激しいのだ。すべてを無駄とは思わず猛追して見ていけばこれは傑作となると思う。できればそういう見方をしたかったのだが、プツプツと集中が切れてしまった。95点。